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それぞれの思い

ツーツクは級友のガドルトを訪ねて家へ行った。
「君は知ってた?リヴリーが眠るって事・・・」
「当たり前だろ。君くらいじゃないのか、知らなかったなんて」

ネオピグミークローンのガドルトは冷めた目で返した。

「ショックじゃないの?」
「別に!買い物に行くんだけどツーツクも行く?」
「こんな時間から?」
「ここのとこ親が忙しくしてて、夕食も一人なんだ。色々準備があるんだってさ。嫌ならいいよ」

ツーツクはついて行くことにした。
街でお菓子を買い食いして、ベンチに座って
道行くリヴリーの顔や街頭に灯がともるのを眺めた。
ガドルトはツーツクが選んでやった帽子を買うと「記念にするんだ」と言った。
お別れの記念なのかなと思うと、少し薄情な気がした。


町明かりの中でぽつりぽつりと会話しながら歩くと
普通と異なる光景がある事に気付いた。

それは随分と強そうな者たちの集団だった。

50人は居るだろうか。皆、鎧を着たり武器を持っていたり
戦士のいでたちをしている。
ミーティング中のようだが今にもどこかへ向かう様子だ

「あの、どうしたんですか?」

ツーツクが訊くと、先頭のオーガが答えてくれた。
たくましい体格の彼もまた鎧に身を包み、迫力があるが優しそうだった。
「せめて私たちでモンスターを倒しに行くんだよ。子供たちは家へお帰り」
隣にいたゴズが叫んだ。
「いいか者ども!いつかまた生まれて来るリヴリーのために、俺たちで一匹でも仕留めておくんだ!」
「オーッ!」
「やっってやるぜ!」
「一泡吹かせてやりましょう」


「俺は忘れていない!かつてパークに転がった死体の山、数えきれない墓標…
リヴリーの血に染まった地面…、
転がるワタメ、パキケ、ゲッコウヤグラそしてクンパどもよ…!
散って行った者たちのためにも決着をつける!」

気付くと周りには多くのリヴリーの人だかりができていた。
珍しそうに写真に収めている者もいる。

鉄兜に顔を隠したゼブルが宣言した。
「愛する者のために戦う。死力を尽くし、そして勿論生きて帰る」

集団はふたたび咆哮を上げて、歩み始めた。


その古参兵たちの戦いは、のちに十一月決戦と呼ばれ
リヴリー界の最後の戦いである十二月決戦への狼煙となった。

パークや森など方々で繰り広げられた戦いで
リヴリー勢の死傷率は71%に及び惜敗を期した。
とはいえ緒戦のどこかでローズウッドはその大きな羽根に一筋の傷跡を得、
ウォーターグリフォンは片眼を失ったという。尚、ベビーは戦士の恩情によって見逃された…


ツーツクとガドルトは呆然として彼等を見送っていた。
最後尾の背中が豆粒のように小さくなる頃、
周囲の野次馬もいなくなっていた。

「かっこいいね…」
ツーツクは言った。

「でも無謀だよ。また起こして貰えるかもしれないのに、死にたいみたいじゃないか」
ガドルトは下を向いて不満そうな顔をしていた。

「でも、凄いよ!ぼくの知っている人も混じっていたのかな…」

「凄いとかいって、もしユーファナスが同じ事したらどうすんだよ!馬ー鹿!」

「なっ…」

ガドルトがツーツクにとびかかって、2人は盛大にけんかを始めた。

「何すんだよ!馬鹿っていう方が馬鹿だっ」
「君が分からんちんだからだろっ」「な、なんだってー!」
「単純野郎!」「意味不明ーっ!」

殴ったり蹴ったりし合っている内に、ガドルトは急にツーツクに覆いかぶさったまま泣き出した。

「う~~っ、う~…」

「…」

ツーツクはガドルトの背中に腕を回して、抱きしめてみた。
それでも相手は泣き止まずに益々しがみついてくるので、
そのまま転がって空を見上げ、背を撫でつづけた。



ガドルトと別れたツーツクは家へ帰った。
やはりユーファナスはいない。キッチンに食事が用意してあるかどうかも確かめず
ベッドに倒れた。

何だか疲れてしまっていた。

泣きやんだガドルトは赤い目をこすって「また会おう」と言った。
ツーツクもそのつもりだ。でも、分からない。
どう気持ちを整理していいのか分からなかった。


12.jpg





~続く。
















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