また…。

また間が空いてしまいました。

前回のゴルツクさん間違えてました。
眉毛も髪と同じ色だったのに、黒く塗ってしまっていたようです。
ゴルツクさんは夕方には眉毛にカビが生えてしまう体質になったのでしょう。

それにしても、やっぱり終了が覆る事は無いんですね;∀;
ゲーム部門自体がお荷物になってしまったんでしょうか
まあ昨今景気のいい話はあまり聞かれないから
仕方ないのかもしれませんね・・。

クリスマス仕様に飾ってみました。
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今回はこの2匹のお話です。。
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以下、話の続き










■不滅のもの



奇妙な夢から覚めると、ツーツクは腰に紐を結わえてタンバリンを結んだ。
何故かそうしなくてはならないと思った。
今日出掛ける先は決まっている。
テーブルに乗っているパンケーキをかじると、マンションを飛び出した。

廃墟と見まごう屋敷に着くと、ツーツクは勝手知ったる様子で窓から乱入した。

「やあ、おはようツーツクくん」

「おはようござ…あれ?ヒロシがいる」

館の主人のラビネはお茶を飲みながら新聞を広げていて、
何故か向かいの席ではヒロシがパンを頬張っていた。

「むごごふーふく(よお、ツーツク」

「何でヒロシがここに居るの?」

「まふぁーほぐっふむ…」

「アパートを出たんでまた戻って来たんだよ。以前はうちに下宿していただろう?」
かわりにファヒナムが答えると、ヒロシはその隙に紅茶でパンを流し込んだ。

「眠るまでお世話になろうと思ってよ!
片付けの手伝いも足りてないらしいんで、まあ力仕事は気が紛れるしなー。
その、お前、もう知ってる…よな?」

ツーツクは頷いた。

「だいたいのリヴリーが眠るってことなら、知ってるよ。
ヒロシも眠いんだ?」

「あ、ああ」

何となく突っかかるようなツーツクの様子に、ヒロシはたじろいだ。

「クリスマスリヴリーは、特に正の魔法の力が弱まると影響を受けるんでしょ?
町行く人に聞いて知ってるよ…」

「町行く人?ユーファナスが教えたんじゃねえの?」

「……」

「何だお前ら、ケンカでもしたのか?」


ツーツクは無言でうつむいていたが、いきなりヒロシの背中をばしんと叩いた。

「いてっ」

「あはは、良かったねヒロシ」

「何がだよ!こんにゃろー!」

ファヒナムは、ヒロシに追いかけまわされてキャッキャと笑っているツーツクを、
新種の生き物を発見したような顔で眺めて言った

「ツーツク君、もしかしなくてもうちの執事に会いに来たんだろう?
あいつなら庭の向こうの森で何かやっているようだよ。」

「森?」

窓から飛び出ていったツーツクを見送ると、ファヒナムはクスリと笑いつぶやいた
「一体、ツーツク君に何があったんだろうね…」




朝もやのまだ途切れぬ中、森の中を進んでいくと、目当てのユキワラベはそこに居た。
彼女は切り株に腰掛けて、手のひらの上の何かを見つめている。

「フレンシルおはよう」

呼びかけると、ハッと顔を上げた。
普段なら声をかける前に足音で気配を察しただろう。
フレンシルもまたクリスマスリヴリーだから、そうとうに眠いのかなあと思うと、
胸がどくんと鳴った。悲しい気持ちが沸き起こる時の感覚に、
ツーツクはぎゅっと拳を握り締めた。

(…リヴリーは皆眠る事になる。…夜に眠り、
いつか朝に目覚めるように、起きる…起きる?ほんとに?)

心臓がぎゅっと掴まれたようになって、少し息が苦しいと思った。

涙をこらえて、切り株の所まで歩いた。

「…これをお前にと思ってずっと探してたんだよ」

フレンシルが渡してきたのは小さな青い楕円形のものだった。
「これはなに?」

「ヤドリギの種」

「ヤドリギの…?」

「ヤドリギは寄生植物なんだ。
他にもそういう植物はいっぱいある。キセルソウやビャクダン…
ヤドリギは人間の世界では不滅のものという意味があるらしい。
薬に使われたり、あと、子供のお守りにもなるんだそうだ。
だから、お前を守ってくれるように、それを。」


「お守り…。」


ツーツクは他の意味も知っている。
青く茂るヤドリギの下でキスすると結ばれるといったことだ。

でも貰ったのは一粒の種である。
フレンシルは遠回りな事は言わない性格なので、
お守りと言ったら本当にそれだけの意味なのだろう。


「それは人間に知られていないヤドリギで、鳥ではなく小動物に運ばれるんだ。
種は乾燥した状態にあると何年も休眠する。
随分前に、庭の木に生えて青い花を付けていた。

それはいつの間にか無くなっていたんだけれど…
もしかしたら秋、種がリスに運ばれていたかも知れないと思って、
森を探してようやく見つけた」

ツーツクは不思議に発光したような青い粒を見つめて何を言えばいいか分からずにいた。
(まるで、まるで、お別れの贈り物…)

フレンシルは紐の付いた小瓶をツーツクに渡した。
「それに入れておくといい」




「…フレンシルも眠ってしまうんだ…」

「…」

ユキワラベは、小さなネオピグミーが泣き出してしまうかと思って見ていた。

ツーツクはふとした事で時々泣きだすことがあった。
こういう時、本当は抱きしめたり頭をなでたりしたらいいのだろうかと思っていたが、
一番いい事が何なのか、いつも思いつかなかった。

ツーツクはしばらく小瓶に入れた種を見つめて黙っていたが、
帽子を脱いで、彼女を見上げて言った。

「君が眠らずにいられる世界が戻ってきたら…僕が起こしに行く」

紳士的に宣言する顔はどこか毅然とした男らしさを備えたようだった。



フレンシルは出会って以来初めて微笑んだ。
笑った方が素敵だろうと思っていたけれど本当にそうだと思って、ツーツクはその笑みを心に刻んだのだった。

木漏れ日の中を進んでいく小さな後ろ姿を、彼女はいつまでも見守っていたようだった。

この先、今日の出来事を振り返ってツーツクが再びフレンシルと会いたいと思うのか、
それとも心の中の扉のひとつに閉じ込めたきり、月日が積み重なっていくのかは分からない。
それでも、一緒に過ごした楽しい日々があった事だけは、永遠に変わりが無いのだ。
たとえ忘却しても、全てが終わってさえも。




帰り道、河原を歩きながら、ツーツクはある確信を繰り返し吟味していた。
川面は太陽の光にきらめいて眩しいくらいだ。

今朝から起こっていた変化についてだ。

これまで数週間苛まれていた眠気が無くなっている。

その理由について考えて、腰の紐に結わえたタンバリンを手に取った。

銀色に輝く重い金属製のタンバリンは、いつの間にか子供の手に馴染む木製の皮張りのものに変わっていた。
しかし、ツーツクにはそれが同じ物だと分かっていた。


河川敷で大きく助走を付けて円盤投げの要領でタンバリンをぶん投げると、
それは勢いよく空を切って対岸の土手に突き刺さった。


「いけないよ僕。こんな所で物を投げて、誰かに当たったら大変だよ」
ジョギングしているピグミーがツーツクに注意した。
「前にぼくはここで打ちっ放しのゴルフボールをぶつけられて、しばらく痛かったんだ」
「…すみません」
「でも凄い肩だね。投擲種目の選手を目指してるのかい?フフフ」
ピグミーは足踏みをすると再びジョギングに戻った。

「…僕は同級生の中でも力は弱いほうだよ。
今朝からおかしいんだ。僕はどうなったんだろう?」

その呟きに答える者はおらず、空っ風が吹き抜けてゆく。
橋を渡って対岸に刺さったタンバリンを回収すると、
ツーツクは家に向かって走り出した。






2.jpg


~つづく。


色ってどうやって塗ったっけ?とあがいて描きました~;
ツーツクの行動がゴルツク寄りになっています。
タンバリンは受け取ってはいけないモノだったのかも…。
次はツーツクが保護者と対決します。
でもこのままだと戦闘になりそうな予感が…。

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