リヴリーは皆、眠る事になる

「テュッテさんのアップルパイかあ…」
ヒロシはじゅるる、と涎をすすって天井近くの空間を見つめた。
その辺りに妄想が浮かんでいるらしい。


浪人生だったヒロシは今は大学生になり1人暮らしをしていたが、
部屋の隅の酒瓶を見てツーツクは心配になった。

「ヒロシって本当に大学生やってるの?」
「うっ」
「またバイトの方が忙しいとか言ってるんでしょ」
「おまえさー…、真面目か、ていうか中学休みなんだよな?
今この期に及んで、説教しにきたのかよ」
ヒロシはごろっと畳に横になると、大きなため息を吐いた。

「おれ、眠るかどうか迷ってってさ…。やっと合格してって年にこれだろう。
ついてねーよな。」

「ねるって‥‥?」

寝るって、夕方から寝るの?しょうがないなあもう!と言いかけて、
どうやら今ここで寝る話でないと気付いた。

「勉強はつれーけど、嫌いじゃないんだ。

おれってクリスマスリヴリーなんだよな。お袋もそうだから仕方ねーのかもしれないけどよ。
クリスマスリヴリーは負の力に特に弱いんだそうだ。やっぱフラスコで眠った方がいいってさ」


「何の話?眠るって…フラスコ?」

ヒロシは驚いた様子で起き上がった。

「お前、知らなかったのか…!
…あー、その何でもねぇ忘れろ」



「知らないって何を?クリスマスリヴリーがどうしたの?」

「そのォ…お、お前には早いっつーか」

「もーっはっきりしろよヒロシ!」

「お、お前の保護者に聞け!ユーファナスに!
俺だってよく知ってるわけじゃねえんだ!」

ツーツクは走って部屋から出て行った。

ヒロシは頭を抱えて唸るのだった。
「あー俺って何でこうバカなんだろ。あいつには
知らせないまま上手い事眠らせるつもりだったのかもしれねーじゃん…クソ!」

11-8.jpg


誰に聞いて良いか分からなくなったツーツクは町行くリヴリーを呼び止めて尋ねた。
答えてくれたリヴリーたちは口々に色々な事を教えた。
中にはモンスターが攻めて来ると言う者もいた。

旅行カバンを持った紫のハナマキによると、2つの事が判明しているという

1.リヴリーは皆、眠る事になる。
2.いつ目覚めるかは、分からない。


色んな情報を何人かのリヴリーからあつめたが、その二項はいずれの話にも共通していて、
ツーツクは不安が増していった

「それは、皆そうなるって事なの?逃げてもだめなんですか」

ハナマキはあごを撫でると「多分ね」と言った。

「皆、親しいリヴリーとひとかたまりに保管して貰おうとしているようだよ。
まあ、きみもそうした方が良いよ。もし起きた時に心細くないようにね…」





~つづく
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